私が見た映画の感想を、私の好き勝手に書いていきます。
アナザー・プラネット

ブリット・マーリング演じるローダは、17歳でMITに合格した秀才で、前途洋洋であった。
ある日、空に見たことのない惑星を見る。それに気を取られたローダは、死亡事故を起こし、4年服役する。
出所後のローダは被害者の家を訪ねていく。
主演のブリッド・マーリングが終始一貫ダウナーな表情で演技をしている。美人の悲痛な表情は絵になる。
低予算でも、話の面白さで、ここまで出来るのかと感心する。
ラストはどのように解釈するかによって、この映画の評価が分かれるかも知れない。
静かな余韻に浸れる映画である。
宇宙人ポール

サイモン・ペッグ&ニック・フロスト主演のSFコメディ。
アメリカのUFOに関連した土地を車で観光しながら回っていく途中で、本当のエイリアン、ポールに出会い、彼を救出するために活躍する。
旅の途中で、アメリカとイギリスの違いでやり取りがあるが、主人公のイギリス人2人にとって、アメリカという国がエイリアンそのものかもしれない。
永遠の0

私たちの生きている現在は、連綿とした時間とつながっている。
たかが70年前の昔のことを、異次元の世界の事のように忘れている、日本人のいいかげんさを反省する必要がある。
『永遠の0』は映画として純粋にFSXが素晴らしい。
真珠湾のシーンに使われいる元の景色は、奄美大島である。 また、アメリカの戦艦が攻撃を受けたとき、浪間に浮かんでる人はデジタルエキストラ。要するにCGでできている。
山崎監督曰く、「史実なのでリアリティを追及しないと、お客さんの心が離れてしまう」と。
主人公の宮部の「死にたくない」というのは、肉体的な事だけを言っていることではない。妻に、「肉体はなくとも帰ってきます」と言ったことからもわかるであろう。
永遠のゼロは、永遠の“零”であり“霊”である。
彼らを物語として受け継ぐ日本人がいるなら、宮部は永遠に生きるであろう。
女狙撃兵マリュートカ

ロシア革命後の内戦時代を描く。
革命軍の女狙撃兵・マリュートカは、捕虜の将校の見張り役を命じられる。護送中に無人島に難破し、二人は恋に落ちていく。
グリゴリー・チュフライ監督のデビュー作。
目を引くのは『アグファカラー 』という色の付き方。淡い色合いが、いい雰囲気になっている。
悲劇的なラストシーンに共感ができれば、感動できる。私は「(゜Д゜) ハア?? 」と思ってしまった。
原題は「41番目」。意味深である。
鍵泥棒のメソッド

売れない役者で自殺未遂の男と、クールな
日常の中で、鍵を盗んだことによって、それぞれの役割が変わってしまう。内田けんじの脚本が秀逸。
大人が楽しめる喜劇である。
風立ちぬ

宮崎監督については、もう終わった人だと思っていたから、本作品を見たときはびっくりした。
いい作品だと思う。原作があれば、この人はまだ作れるんだ、と思った。
宮崎駿監督は航空機好きだ。演出のルパンV世でも飛行艇が出てきたり、紅の豚では飛行機尽くしだった。だいたい”ジブリ”も”ギブリ”(CAPRONI Ca309 GHIBLI)から命名したものと聞く。
そんな飛行機好きの宮崎駿監督が堀越二郎の半生を描くのは、いわば必定だったのだろう。
「美しい飛行機を作りたい」と思った人を描きたい、と思った作品に、「戦争を美化している」と難癖を言ったとこで始まらない。
カラフル

この映画で印象に残ったシーン。
主人公で中学生のマコト。マコトがが好意を寄せているヒロカ。
ヒロカは援助交際をしていた。ヒロカがラブホテルに入ろうとした瞬間を目撃したマコトは、ヒロカの手取って、雨の中を走る。
走る。ひたすら走る。
高架下で立ち止まったヒロカは息を切らせながら言う、「楽しかった。相手を待たせたら悪いし、帰る」と、踵を返した。それをなすすべなく眺めているマコト。
原恵一監督の描く世界は、大人をドキリとさせる。
キラサギ

売れないアイドル・如月ミキの一周忌に集まった男5人。如月ミキの思い出話をしているうちに、5人の話から新事実が次々明らかになっていく。「彼女は自殺じゃない、殺されたんだ」
ストーリーは2転3転していく。
密室だけ行われる会話劇。それだけで最後まで引っ張っていくのは、流石としか言いようがない。
期待せずに見ると、それは大きく裏切られる。「やられた」という気分になる。
ジャージの二人

避暑地でわけあり親子が過ごす何も起こらない休日。
不思議なジャージがあって、不思議な隣人がいて、女子中学生たちが片手を高々と上げて、不思議なポーズをしている場所があるが、終始一貫何も起こらない。それでも最後まで見続けることができる不思議な作品。
何も起こらない中で、鮎川誠がいい味を出してる。
戦艦ポチョムキン
あの淀川さん曰く、今まで見た映画の中でのベスト1は、2本あるそうである。1つが「黄金狂時代」。
もうひとつが「戦艦ポチョムキン」だ。
その2本を比べた時に、カメラワークの見事さでは、「戦艦ポチョムキン」が勝るそうだ。淀川さん曰く「カメラのダンス」と表現していた。
なるほど、見てみると、セルゲイ・エイゼンシュタイン監督というのは「映画の魂」を解っていた(これも淀川さん談)。
モンタージュ技法というのは、私的には”若い監督が頑張りすぎて、せわしない”的に見えてしまうが、この当時でこれだから、やはりすごい作品なのだろう。
やはり、見どころは「オデッサの階段」。人々が殺されていく悲劇的描写は、迫力がある。
とりあえず見ておく作品であることは、間違いない。
戦略大作戦

第2次世界大戦末期のフランスが舞台。
アメリカ軍の落ちこぼれ部隊が、ナチスドイツが金塊を保管していることを知る。連合国軍には内緒にして、ケリー(クリント・イーストウッド)率いる米軍小隊はその金塊を貰ってしまおうと作戦を実行する。
戦闘シーンではナチスドイツ軍に対して容赦ない描写もあるが全体としては、明るいコメディタッチで、話が展開する。
ガールズアンドパンツァーの「オットボール軍曹」の元ネタ映画。
M4戦車やタイガー戦車がガンガン動いて楽しくなる。ラストあたりのタイガー戦車の乗組員に相談を持ちかける場面も面白い。
軽いノリで見られる戦争映画である。
ザ・イースト

ブリッド・マーリング主演の環境テロリストを題材にした映画。
アメリカの薬の認証は早い。臨床実験はアフリカでやり、その実験結果の検証は、役人の天下り組織がやるという。
映画の中では、薬害が発生する可能性をある薬を、製薬会社役員のパーティに潜入し、シャンパンに混ぜて飲ませるというテロが行われる。
ブリッドマーリング演じるサラは身を隠してテロリスト集団『ザ・イースト』に潜入する。
テロリストの一員として行動を共にするサラは、『ザ・イースト』の活動に理解を示すようになる。
テロリスト集団が狂っているのか、アメリカ社会が狂っているのか、よく判らなくなってくる。
ゼログラビティ

私は3D映画を、子供だましのくだらないものと思っていた。
『ゼログラビティ』を見て、この認識は間違っていた事に気が付いた。
映画館の大スクリーンで見る『ゼログラビティ』の3Dは、大宇宙に放り出された孤独感・恐怖感の演出が素晴らく、半端ない。
このDVDを家で、しかも大画面で見たとしても、映画館の、あの迫力には足元にも及ばないであろう。
これぞ、映画館で見る映画である。
白い家の少女

田舎町の人里離れた白い一軒家に、詩人の父親と娘のリン(ジョディ・フォスター)が2人暮らしをしていた。誰が訪ねてきても詩人の父親は、顔を見せることはない。
やがて大家が不審を持ち、地下室を確かめようとする。
14歳のジョディ・フォスターの演技が素晴らしい。ミステリーサスペンス。1976年作品。
ジョディ・フォスターのジョディ・フォスターによるジョディ・フォスターを見るための映画。この歳で大女優の貫録十分である。また、マーティン・シーンのフランク役は見ているとイライラしてしまう。嫌われ役としていい味を出している。
深呼吸の必要

人は逃げてもいいと思う。つらいことを避けて生きてもいいと思う。
そんな気持ちにさせる映画である。
物語のほとんどがサトウキビ畑で展開される。なんとものどかな、のんびりした映画だ。
ヒーリング効果もある。疲れた方に見てほしい。
誓いの休暇

この作品を最初に見たのは、中学生の時だった。当時はVHSに録画して何度も見直した。
「誓いの休暇」は、反戦映画といわれている。
この作品は、悲惨な戦闘シーンも激しい戦場描写もなく、私には反戦映画というより、美しく儚い恋愛映画だと思った。
6日の褒章休暇をもらった主人公アリョーシャが乗っていた貨物列車に、無断乗車してきたジュンナ・プロホレンコ演じるシューラのツンデレぶりが、素晴らしい。
多感な中学生であった私のハートを打ち抜いた。これほど魅力的なイモねーちゃんを、今まで見たことがなかった。
お互いに名前しか知らないアリョーシャとシューラ。混乱の中で、二人は引き裂かれていく。
アリョーシャは母親を一目見ただけで、再び戦場に帰っていく。彼は、戦争を否定していない。むしろ肯定しているであろう。
その姿勢が、他の安っぽい反戦映画とは一線を画している。
テルマエロマエ

阿部寛の古代ローマ人がはまり役だ。
真剣な顔で便器の構造について悩む阿部寛の顔を見ているだけでくすっとくる。
理屈なしに楽しめばいいかなと思う。
時をかける少女

高校2年生の「真琴」は、理科室で不思議な体験をする。それ以後ジャンプすることで、時間をさかのぼることができるようになる。
原作は筒井康隆の同名小説。
何度も映像化されているが、今回の作品は”時間をさかのぼれる”というプロットだけを借りたにしか過ぎない。
主人公の「真琴」の自由奔放さにあきれつつ、夏の高校生の青春という感じがする。
地道な口コミでヒットした本作。細田監督にこれからも期待。
図書館戦争

アクションもしっかりしてるし、教官と部下との恋愛という面でも面白い。
ただ、銃撃までして対立する「図書隊」と「メディア良化隊」との設定の部分が納得できないので、微妙な気がしてならない。
しかし、そこは、理屈をこねず、ラブコメエンターテインメントと割り切れば、面白い作品だと思う。
ナザレのイエス

2千年前に生きたナザレのイエスの生涯を描く。彼は何を言い、何を行ったのか。彼は如何にして十字架にかかったのかを描く。
聖書が、そのまま絵画になったような映画。新約聖書のトピックを一通り網羅できる。上映時間6時間11分!!。
1976年制作作品とは思えない画面の美しさ。
ロバート・パウエルのイエス役ははまり役。マリヤ役のオリビア・ハッセーがかわいい。
2001年宇宙の旅

2001年宇宙の旅を評してこういう人がいる。
- ・ストーリがよくわからない。というか、全編を通してのストーリーがない。
- ・前半はサルが出てきて、セリフもないし、退屈。
- ・モノリスという大道具が、突然でてきて意味不明。
- ・最後は木星にいるはずなのに、部屋の中におっさんが寝てるのは解せない。
- ・最後に気持ち悪い胎児が出ているのは何やねん?
と、いろいろあると思うが、すべて、私に言わせれば「だから何?」で終わりだ。
なぜなら、「神話」を批評しても、意味がないからだ。「2001年宇宙の旅」は、すでに人間が批評できる範疇を超えて、神話になっているのだ。
「2001年」が神話から世俗的な話になるには、人類は太陽系を超えていかなければならないだろう。
南極料理人

西村(堺雅人)は、ドームふじ基地へ南極観測隊の料理人。限られた空間の中で生活している隊員にとって、日に3度の食事は唯一の楽しみである。
ペンギンもアザラシも、細菌さえいない極寒の土地で、食事が隊員のモチベーションに与える影響のでかいことを確認できた映画であった。
確かにラーメンは食べたいと思う時がある。
エビフライも食べたいと思うこともある。
交換手を口説くことは…、それはないか。
虹色ほたる

小学6年生のユウタは、夏休みに一人山奥にカブトムシを取りに来る。突然の大雨で足を滑らせて崖から落ち、気が付けば、そこには不思議な少女サエコが立っていた。その村は今はダムの下になっているあるはずのない場所だ。時代は昭和52年であった。
原作は、2004年に作者・川口雅幸がブログで書いた小説でそのブログが人気となり、出版、映画化になった。
ジャパニメーションが優れているとするなら、それは、この世のすぐ隣にある「あの世」を描くからだと思う。『日本むかし話』のような手書きのタッチが暖かく、不思議な世界観に合っている。
この作品に出てくる”蛍”や”花火”、”神社・夏祭り”は、現世の裏に綿々と続く霊の世界を表現していると思う。
ユウタの父親は交通事故で死んだ。サエコの兄も交通事故で亡くなってしまった。しかし、彼らは見えていないだけで、 ユウタやサエコを常に守ってくれていると感じる。
ホッタラケの島 ~遥と魔法の鏡~

高校生のはるかは、亡くなったお母さんからもらった手鏡を探そうとする。
ある日、神社の境内の水たまりから『ホッタラケの島』に迷い込む。
全編3Dアニメでよく動く。
ストーリー的には単純明快だが、画面が作りこんであるので、大人でも楽しめる。
3Dアニメでは、アメリカに一日の長がある。
ホット・ファズ

サイモン・ペッグ演じる警察官ニコラス・エンジェルスは、堅物であるがゆえに、田舎町サンドフォードに左遷される。
そこではのどかな毎日が繰り返されるのだが、不自然な事故死が起こり始める。
コメディタッチで始まって、スリリングな展開になっていく。ストーリー展開がテンポよく見ているものを飽きさせない。
ブラック会社に勤めてるんだがもう俺は限界かもしれない

私は、以前にソフトウエア開発の会社にいた。この映画を見て、声を出して笑ってしまった。
基本コメディ調なので、細かいことをあげつらえばいろいろあるが、言いたいことは判るし、小池徹平演じる主人公「マ男」に共感できる。
落ち込んだ時に、見ると、不思議と勇気をもらえる。
映画の中で紹介されていた「ブラック企業6ヶ条」。
1.就業規則があるにも関わらず、残業が当たり前
2.何日も徹夜が続くことがある
3.社内に情緒不安定な社員がいる
4.必要経費が一切認められない
5.同僚のスキルが異常なほど低い
6.従業員の出入りが激しい
マイマイ新子と千年の魔法

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不思議な作品である。
ファンタジーでもあるともいえるし、終戦間もない日本が必死に復興をしている姿を描いているともいえる。
はるか昔の日本に話が展開したかと思えば、友人の父親が自殺をした原因になった飲み屋に復讐に行くという展開もある。
私はこの映画を見て「リアルトトロ」だと思った。
妖怪も出てこず、特別な盛り上がりもせず、淡々と流れるストーリー。
田舎の麦畑を、ただ、さーっと吹いていく風のような展開が、なぜか心休まる気がする。
こんなアニメが興行的に成功してほしいと思った。
ミッドナイト・イン・パリ

主人公のギル(オーウェン・ウィルソン)は、映画脚本家だが、小説家を目指している。婚約者のイネス (レイチェル・マクアダムス)と裕福な彼女の両親と一緒にパリに旅行に来る。
酒に酔ったある夜、ギルは古い車に乗せられる。到着した先は1920年代のパリだった。
映画の最初から最後まで、パリの街並みが美しい、大人のファンタジーである。
主人公のギルは現実から逃避して、過去に憧れを持つが、実際過去に行くと、そこが「今」になる現実に気が付く。しかし、女性に関しては、最後まで現実逃避してしまった感がある。おいおいと思うが、雨のパリが綺麗だから、まあいいか。
ももへの手紙

瀬戸内海の風景の綺麗さ、主人公モモと妖怪たちとのほほえましいやり取り。
作品は良作で私は大好きなのだが、あえてダメな点を挙げると、モモが母親のために医者を呼びに行った、ストーリー的には最大の山場が、次の場面展開で必要性が全く語られていない。その点で「え?」となってしまう。
しかし、そんなことは脇に置くとしても、大人から子供まで楽しめるいい作品だ。
妖婆 死棺の呪い

"中世のロシアを舞台に、美少女に変身した魔女が神学生を襲う恐怖を描いたSFXオカルト映画。"と、アマゾンの作品紹介に書いてある。
その通りだが、SFXオカルト映画というよりは、面白妖怪大集合コミカル映画と思ってみるほうがいい。
全編にわたって漂うチープ臭は、見るものを虜にする可能性がある。ホラー作品として見た場合は、がっかりする可能性がある。
1967年制作ソ連作品に、こんなコミカルなモノがあるのかという驚きはある。
私を離さないで

外界から隔絶した寄宿学校ヘールシャム。この学校には、臓器提供のためだけに生かされている人間がいた。 同級生のキャシー、ルース、トミーは、施設で一緒に過ごし、施設を出て、臓器提供の日を迎える。
見るものを不思議な世界観に放り出す作品。この言葉に出来ない気持ちはなんだろう。
私は「ガンスリンガ・ガール」を連想した。
くすんだ空の下で、人生の意味とはなんだろうかと考えると、やるせない気持ちになってくる。見たことを後悔してしまう映画かもしれない。
ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う!

サイモン・ペッグ主演のイギリスのおバカコメディ映画である。
40過ぎのおっさん5人組が、12件のパブを一晩で廻るという、本当のお馬鹿映画である。(他人事とは思えない)
前半は、昔のクラスメートで、「パブクロールしようぜ」という話。
後半は、町が宇宙人に侵略されてるぜという話。
バカもここまで全力でやると、爽やかに目に映るから不思議なものである。
深読みすると、「宇宙人に侵略」を「グローバル資本」と読み替えると面白いかもしれない。
この映画はジョンカーペンターへのオマージュだそうだ。